2020年3月7日土曜日

自由と不自由はよく似ていて、ときどき私には区別がつかなくなる   江國香織

必ず探しだすといって消えた恋人に見つけだしてもらうために、いくつもの町をさすらう母と娘の物語。「あたしのママはかわっている。大学をでてすぐ結婚したけれど、あたしのパパと出会って、『骨ごと溶けるような恋』をして、あたしを産んだ」。その恋を続ける代償のため、「あのひとのいない場所になじまないように」引越しを繰り返す。自由に生き続けるためには、呪いの魔法のような制約を受け入れるしかなかった母の姿は、究極の恋愛というロールプレイングゲームの主人公のように、ボクには思える。待ち続けるから続く恋。呪いの魔法がとけたとき、その恋というゲームも終わりを告げるわけなのだが、さて、それは幸せな結末なのだろうか?

 不自由。私はときどきそれについて考える。子供のころから自由ばかり求めていた。求めるというより、それは私にとって食事や睡眠のように必要なものだった。自由を求めてけんかをした。自由を求めて家出をした。でも、自由と不自由はよく似ていて、ときどき私には区別がつかなくなる。

江國香織/『神様のボート』(新潮文庫)

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