必ず探しだすといって消えた恋人に見つけだしてもらうために、いくつもの町をさすらう母と娘の物語。「あたしのママはかわっている。大学をでてすぐ結婚したけれど、あたしのパパと出会って、『骨ごと溶けるような恋』をして、あたしを産んだ」。その恋を続ける代償のため、「あのひとのいない場所になじまないように」引越しを繰り返す。自由に生き続けるためには、呪いの魔法のような制約を受け入れるしかなかった母の姿は、究極の恋愛というロールプレイングゲームの主人公のように、ボクには思える。待ち続けるから続く恋。呪いの魔法がとけたとき、その恋というゲームも終わりを告げるわけなのだが、さて、それは幸せな結末なのだろうか?
不自由。私はときどきそれについて考える。子供のころから自由ばかり求めていた。求めるというより、それは私にとって食事や睡眠のように必要なものだった。自由を求めてけんかをした。自由を求めて家出をした。でも、自由と不自由はよく似ていて、ときどき私には区別がつかなくなる。
江國香織/『神様のボート』(新潮文庫)
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ジャガーは病気もしないし、年齢もなく、亡くなることもないので心配しないでほしい。 JAGUAR所属事務所担当者
「令和3年、JAGUAR星人のJAGUARが、大好きな地球よりJAGUAR星に帰還いたしました」との所属事務所の発表を受けての千葉日報の取材に対する担当者のコメント。これでジャガーさんは永遠の存在となった。すごい。 千葉日報の記事は こちら
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春の夜にうつらうつらしていると余震で目覚めた。時刻を確認すると3時11分だった。 夜の時刻で素数に該当する数字はたくさんあるから、311に限定するのはおかしいという意見もあるだろう。もちろんそうだ。だから、あくまでもこれは個人的な感想にしかすぎないのだが、初めてこの句を読んだ...
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やわらかな風が、瑞々しい夏木の新葉を揺らしていく。そんな親密なふれあいのように、起動した電車はカクンと一揺れし、新緑の高原へとゆっくりと動きだしたのだ。 小海線は、小淵沢から小諸を結ぶ単線。遠い昔、小淵沢から甲斐大泉まで乗ったことがある。八ヶ岳のふもとに住む人を仕事の打ち合...
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